哲学および論理学における自己言及のパラドックス(じこげんきゅうのパラドックス)または嘘つきのパラドックスとは、「この文は偽である」という構造の文を指し、自己を含めて言及しようとすると発生するパラドックスのことである。この文に古典的な二値の真理値をあてはめようとすると矛盾が生じる(パラドックス参照)。
「この文は偽である」が真なら、それは偽だということになり、偽ならばその内容は真ということになり……というように無限に連鎖する。同様に「この文は偽である」が偽なら、それは真ということになり、真ならば内容から偽ということになり……と、この場合も無限に連鎖する。
自己言及のパラドックス – Wikipedia
目的
この文章では、俺は自己言及の背理を提示する。さらに、俺はその背理の回避法を提示する。
1章 真偽
目標
この章では、俺は真偽に関する推論を提示する。
理屈
俺は次の理屈を使用する。xを主語とする。aを述語とする。
もしxがaであるが真であるならば、xがaである。 (1.1)
もしxがaであるが偽であるならば、xがaでない。 (1.2)
もしxがaであるが真でないならば、xがaであるが偽である。 (1.3)
もしxがaであるが偽でないならば、xがaであるが真である。 (1.4)
俺はxがaであるが真であるを仮定する。(1.1)により、xがaである。俺はxがaであるが偽であるを仮定する。(1.2)により、xがaでない。
俺はxがaであるが真でないを仮定する。(1.3)により、xがaであるが偽である。(1.2)により、xがaでない。俺はxがaであるが偽でないを仮定する。(1.4)により、xがaであるが真である。(1.1)により、
xがaである。
もしxがaであるが真でないならば、xがaでない。 (1.5)
もしxがaであるが偽でないならば、xがaである。 (1.6)
現実例
例えば、俺が岸田文雄が日本人であるが真であると仮定する。もし岸田文雄が日本人であるが真であるならば、岸田文雄は日本人である。(1.1)により、岸田文雄が日本人である。俺が岸田文雄が日本人であるが偽であると仮定する。もし岸田文雄が日本人であるが偽であるならば、岸田文雄は日本人でない。(1.2)により、岸田文雄が日本人でない。
俺が岸田文雄が日本人であるが真でないと仮定する。(1.5)により、岸田文雄が日本人であるが真でないならば、岸田文雄が日本人でない。仮定により、岸田文雄が日本人でない。俺が岸田文雄が日本人であるが偽でないと仮定する。(1.6)により、岸田文雄が日本人であるが偽でないならば、岸田文雄が日本人である。仮定により、岸田文雄は日本人である。
2章 自己言及の背理
目標
この章では、俺は自己言及の背理を提示する。
定義
俺は次の文を作る。このとき、自己言及の背理が生じる
この文は偽である (2.1)
さらに、俺は次の記号を便宜的に導入する。
この文は偽である⇔α (2.2)
この文⇔α (2.3)
まず始めに、俺はこの文は偽であるは真であるを仮定する。(1.1)により、もしこの文が偽であるが真であるならば、この文は偽である。仮定により、この文は偽である。(2.2)を使用すると、この文⇔αであるので、α は偽である。さらに、(2.3)を使用すると、この文は偽であるは偽である。この変形された文は始めの仮定に違反する。背理法的な考えにより、この文は偽であるは真でない。(1.5)により、この文は偽でない。この導出された文は(2.1)に違反する。
次に、俺はこの文は偽であるは偽であるを仮定する。(1.1)により、もしこの文が偽であるが偽であるならば、この文は偽でない。仮定により、この文は偽でない。しかし、この文は偽でないは(2.1)に違反する。
上記をまとめると、次になる。たとえ俺が(2.1)を真と仮定するとしても、たとえ俺が(2.1)を偽と仮定するとしても、導出されるそれぞれの文は(2.1)に違反する。これが自己言及の背理である。
3章 背理の回避
目標
この章では、俺はその背理の回避法を提示する。
理屈
俺は次の理屈を使用する。xを主語とする。aを述語とする。
もしxがaであるが真であるならば、xがaであるが真である。 (3.1)
もしxがaであるが偽であるならば、xがaでないが偽である。 (3.2)
もしxがaであるが真でないならば、xがaであるが真でない。 (3.3)
もしxがaであるが偽でないならば、xがaであるが偽でない。 (3.4)
俺はxがaであるが真であると仮定する。(3.1)により、xがaであるが真である。俺はxがaであるが偽であると仮定する。(3.2)により、xがaでないが偽である。俺はxがaであるが真でないと仮定する。(3.3)により、xがaであるが真でない。俺はxがaであるが偽でないと仮定する。(3.4)により、xがaであるが偽でない。
応用
ここでは、俺は(2.1)を応用する。
この文は偽である (2.1)
まず始めに、俺はこの文は偽であるは真であるを仮定する。(3.1)により、もしこの文が偽であるが真であるならば、この文は偽であるは真である。仮定により、この文は偽であるは真である。(2.2)を使用すると、この文⇔αであるので、αは偽であるは真である。さらに、(2.3)を使用すると、この文は偽であるは偽であるは真である。この変形された文は仮定の文に”形式的には”違反しない。さらに、この変形されは文は(2.1)と異なるが、(2.1)と上記のようには矛盾しない。従って、矛盾は存在しない。
次に、俺はこの文は偽であるは偽であるを仮定する。(3.2)により、もしこの文が偽であるが偽であるならば、この文は偽であるが偽である。仮定により、この文は偽であるは偽である。この文は仮定に違反しない。また、この文は(2.1)と異なるが、(2.1)と上記のようには矛盾しない。従って、矛盾は存在しない。
まとめると、次になる。たとえ俺が(2.1)を真と仮定するとしても、たとえ俺が(2.1)を偽と仮定するとしても、導出されるそれぞれの文は(2.1)に違反しない。ただし、それらの文は(2.1)と異なる。さらに、それらの文は仮定にも違反しない。
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